出張講座JASRACラーニングスクエア

※上記の画像は、講義で受講者に「著作権からイメージする言葉」を尋ね回答をまとめたものです。

はじめに

2024年11月6日、JASRACラーニングスクエア第29回出張講座が、北海道教育委員会主催のもと、札幌市にある北海道立道民活動センター（かでる2・7）で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。

１ 応募者について

今回の応募者は北海道教育委員会の生涯学習推進局社会教育課です。
北海道教育委員会では、文部科学省が定める「学校司書のモデルカリキュラム」を参考に、2022年度から「学校図書館担当職員講習」を実施しています。昨年度までは基礎的な知識の習得を目的とした講習のみでしたが、今年度は個別の課題に焦点をあてた「課題別講習」を新たに実施。学校関係者から課題を募集したところ、最も多くの要望が寄せられたテーマが著作権でした。同教育委員会は、他団体が過去にラーニングスクエアを利用して「学校図書館と著作権」をテーマにした講座を実施していたことを聞き及んでいたそうで、これが今回のお申込みに繋がりました。

２ 講師について

今回の出張講座の講師は原口直さんです。原口さんは、YouTube動画やウェブサイトで学校の教員や司書向けに著作権に関する情報を発信したり、省庁・学校・自治体・教育委員会等が主催するイベントで研修・講演活動をしています。
　また、原口先生は北海道に居住しており、道内の高等学校で特別教育支援員として学校図書館の業務支援などを行っています。

３ 受講者について

開催に当たっては、北海道全域の学校司書・司書教諭等の教職員、公共図書館の職員、市町村の教育委員会職員ほか、学校図書館運営や著作権に関心のある方に広く参加を募り、当日は会場に13名、オンライン配信にて48名が参加しました。さらに、後日アーカイブ配信にて約100名の方が講義を視聴しました。

４ 当日の様子・講義の内容について

今回の講義は「知って安心。著作権と学校図書館」というテーマのもと、次の内容に沿って講義が進められました。
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1．著作権の基礎
2．学校での著作権
3．オンライン授業（授業目的公衆送信補償金制度）
4．生徒にどう教えるか
5．よくある質問
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原口先生は、講義の中でライブプレゼンテーションソフトを活用し受講者に様々な質問を投げかけました。回答はその場で共有され、気になった回答には原口先生がコメントを入れながら受講者参加型で進めました。

※冒頭の画像（「著作権」からイメージする言葉3つ）は、実際に講義の中でライブプレゼンテーションソフトを使って受講者に著作権に対して抱くイメージを3つ挙げてもらい、その結果を表したものです。文字の大きさは回答した受講者の数の多さを示しています。

回答結果を見た原口先生は「著作権に関するキーワードが多く挙がっており、受講者の皆さんが日頃から情報収集のアンテナをしっかり立てている様子が伺える」と評価しました。

次に学校現場での著作権問題については、よくある事例として著作権フリー素材サイトを取り上げました。原口先生は、著作権フリー素材を謳うサイトを利用したにもかかわらず著作権侵害となったケースを紹介し「タダで使えると思っていませんでしたか？」と問いかけ。適正に利用するために確認するべきポイントについて詳しく説明しました。
その後も書影の使用や問題集の複製、学校行事での音楽利用など学校現場において著作権が問題となる場面に触れ、「利用許諾手続きが面倒だったり、高額な使用料がかかるのではと怖かったりするかもしれないが、著作物を適正に利用する方法は必ず公表されている。尻込みせずにきちんと確認したうえで正しく利用してほしい」と訴えました。受講者は、熱心に頷きながらメモを取っていました。

講義を通して原口先生が繰り返し強調していたのは、「学校は授業などで著作物を自由に利用できる例外的な場である」という点です。「だからこそ、教員も生徒も著作権について正しい知識を持つことが重要」と力説します。最後には受講者に対して「授業の過程で著作物を使う感覚のまま授業の外で著作物を利用すると、途端に違法となる可能性があるので、そのような事態を防ぐためにも、教員自身が正しい著作権の知識を身につけ、生徒にも指導していってほしい」とメッセージを送り締めくくりました。

５ アンケートの結果

当日参加された皆さんにアンケートをお願いしたところ「今後も定期的にこのような講義を開催してほしい」とのご意見が多く寄せられました。その他にも次のようなご意見をいただきました。
・頻繁に改正される著作権法の最新の情報について学ぶことができ、とても有意義だった。
・非常に実践的で、すぐにでも職場に持ち帰り周囲の人と共有したいと感じた。
・学校現場での具体例が多く示され、わかりやすかった。また、生徒をトラブルから守るためにも著作権教育は必要であることがよくわかった。

最後に

北海道教育委員会の皆さん、そして講師の原口先生、この度はありがとうございました。
出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々な講義の開催を予定しております。

（文責：事務局員）