出張講座JASRACラーニングスクエア

※上記の画像は、株式会社ytv Nextryが所在する大阪ビジネスパークを背景にして大阪城を撮影したものです。

はじめに

2024年9月19日、JASRACラーニングスクエアの25回目となる出張講座が、株式会社 ytv Nextry（ワイティーヴィーネクストライ）で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。

１ 応募者について

今回の応募者は、株式会社ytv Nextry常務取締役の高津英泰さんです。株式会社 ytv Nextryは、在阪のテレビ放送局である讀賣テレビ放送株式会社の100％子会社として、ドラマ・バラエティ・情報・報道などのテレビ番組の他、コマーシャルなどの映像制作を数多く手掛けています。

映像制作の現場では、映像、音楽、原作、脚本などの著作物を複合的に取り扱っており、これらの権利処理を完了してから制作した映像を納品することが多いそうです。このような実情を踏まえ、高津さんは、著作権やコンプライアンスに関する意識を更に高める必要性を感じて、社内研修の一環としてJASRACラーニングに申込みされました。

２ 講師について

今回の出張講座の講師は、唐津真美弁護士です。唐津弁護士は、エンタテインメント分野及びメディア関連の知的財産権や企業法務全般を専門として、これまでに多くのエンタテインメント企業の法務支援を行っており、文化審議会著作権分科会の専門委員なども務めています。

その傍ら、法教育活動にも力を入れており、学校での授業を多数担当しています。また、（一社）授業目的公衆送信補償金等管理協会（SARTRAS）の情報誌「さあとらす」では、学校生活に関係する著作権を分かりやすく解説した「親しもう！教育と著作権」を連載中です。

３ 受講者について

受講者は、株式会社ytv Nextryの全社員及びスタッフの皆さん約230名です。講義当日は、会場となった本社会議室では約30名が参加し、オンラインでは約40名が参加しました。その一方、業務の都合などで参加が難しい方々は後日、講義の模様を収録したアーカイブ映像を視聴して受講しました。

４ 当日の様子・講義の内容について

今回の講義は「テレビ番組を制作する上で押さえておきたい著作権等の基礎知識とＱ＆Ａ」というタイトルで、14時から約90分間に渡り行われました。

講義内容については、高津さんから、映像制作の現場で必要となる基礎知識を幅広く取り上げて欲しいという希望があり、著作権のみならず肖像権、パブリシティ権、商標権も含めたものになりました。

これを受けて、唐津弁護士は、事前に受講者から質問を募集しました。そして、受講者が日々の業務で抱える悩み・疑問を確認した上で、これらが解消されるように講義に臨みました。

事前に寄せられた質問は、次のようなものでした。
・街頭インタビューの映像に音楽などの著作物が映り込んでしまった場合、権利処理の必要があるのか。
・YouTubeやSNSの映像やスクリーンショットを使用する場合、YouTubeやSNSの運営側から許諾を得る必要があるのか。
・生成AIによって生成した写真、イラストや音声を使用する場合、どのようなことに注意すればよいのか。
・写真やイラストなどの商用利用可能なフリー素材を利用する際の注意点は何か。

講義では、唐津弁護士が、映像制作に関連する著作権などの基礎的な知識を説明しつつ、関連する項目に差し掛かるとアンケートで寄せられた質問を紹介して、説明した知識を関連付けながら考え方や対応方法を分かりやすく回答していきました。

特に、事前の質問で多かった撮影した映像への著作物の映り込みについては、唐津弁護士は、街頭インタビューやスポーツイベントの中継などよくある事例を挙げて、働く権利の種類や権利処理が必要かどうかの判断方法について、丁寧に説明しました。

５ アンケートの結果

当日参加された受講者からは、次のような感想をいただいております。
・著作権に関しては様々なケースがあり、決まった対応をしているだけではいけないことがわかりました。今後の仕事に生かしていきたい。
・業務を行う中で気を付けていたことが、講義でも再確認ができたて良かった。
・著作権には、いろいろな支分権があることを知りました。具体的な事例も交えていただいたので、わかりやすかった。
他にも多数の好意的な感想をいただきました。

最後に

受講された株式会社ytv Nextryの皆様、当日の進行を含め連絡対応をしていただいた高津さん、そして唐津弁護士、この度はありがとうございました。

出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々なテーマで著作権に関する講座を開催します。

（文責：事務局員）