出張講座JASRACラーニングスクエア
お申込みフォーム東京音楽大学主催の講座「バンドディレクション」(吹奏楽と著作権)が開催されました。
はじめに
2024年6月24日、JASRACラーニングスクエアの16回目の出張講座が、東京音楽大学(東京都目黒区)で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。
1 東京音楽大学について
東京音楽大学は、「アカデミズムと実学の両立」「音楽による社会貢献」「国際性」を教育理念に掲げる1907年創立の日本で最も古い歴史を持つ私立音楽大学です。
これまで多くの著名な音楽家を輩出しており、JASRACの第14代会長を務めた、故・船村徹氏も同大学の前身となる東洋音楽学校の出身です。
今回の講義は、池袋キャンパスに続く2つ目のキャンパスとして2019年に開設された中目黒・代官山キャンパスで行われました。
2 応募者と本講義について
今回の応募者は東京音楽大学教授の中橋愛生先生です。中橋先生は、2008年に史上最年少で日本管打・吹奏楽学会アカデミー賞(作曲部門)を受賞、自衛隊音楽隊の楽曲提供など数多くの吹奏楽作品を創作し ている作曲家です。
東京音楽大学は、部活動等での吹奏楽の人気を踏まえ、吹奏楽の演奏技術やアカデミックで正しい知識を持った指導者の育成を主な目的として「吹奏楽アカデミー専攻」を開設しており、中橋先生は開設時からの担当教員です。
今回出張講座が開催された「バンドディレクション」という授業科目は、普段から吹奏楽の指導現場で活躍する先生が講師に招かれ、吹奏楽の指導者に求められる実践的な知識を総合的に学ぶことができる科目です。
吹奏楽の現場では、著作権の保護期間が存続中の作品を利用する機会が多いことから、中橋先生は学生の皆さんに音楽著作権の正しい知識を身につけてほしいと考え、ラーニングスクエアにお申込みされました。
3 講師について
今回の出張講座では、JASRACの2名の職員が講師を務めました。
1名はJASRACの法務部門で 契約書の内容の確認・修正や契約担当部署への助言、業務上の法的問題への対応等を担当する企画部法務課で課長補佐を務める小峰です。小峰は演奏会の許諾手続きの実務者としての経験も踏まえながら、著作権制度やJASRACに関する説明を担当しました。
もう1名は、演奏会の著作権手続きの窓口となる全国14の支部における管理施策や業務の運用方法の取り決めや調整を行う演奏部で課長を務める海野です。海野は、支部の勤務経験もあり、演奏会業務のエキスパートとして、演奏会における著作権手続きに関する説明を担当しました。
4 受講者について
今回の講座は「吹奏楽アカデミー専攻」に在籍する学生約50名と普段の授業で学生に楽器演奏について指導を行っている演奏家や作曲家の先生約10名の合計約60名が受講しました 。
5 当日の様子・講義の内容について
開始時刻が近づくと、コンサートホールの真下に位置する教室に、トランペットやサックスなど楽器を携えた学生が続々と集まりました。
当日は「吹奏楽活動と著作権」と題し、次の項目に沿って2部構成で講座が行われました。
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1. 著作権とは
2. JASRACの役割
3. 手続が必要な場合と必要ない場合
4. ケーススタディ
5. 著作権の手続き
6. 質疑応答
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前半(1~3)は、法律や仕組みに関する内容で、後半(4~6)は実務的な著作権手続きに関する内容でした。前半は、小峰が著作権法の主要な条文に触れながら法律の目的を踏まえて、JASRACの役割や著作権法で自由利用が認められる範囲について講義を行いました。
法律や制度に関する難しい話もありましたが、受講者は時折メモを取りながら熱心に耳を傾けていました。
後半では、海野が吹奏楽部の定期公演を例にとり、演奏会で手続きが必要となる場合、編曲の許可、楽譜のコピーや引用についてケーススタディの方法で講義を行いました。
海野は、講義を通して学生たちに「これから著作権について質問を受ける立場になっていくので、著作権法の意義を正しく理解し、正しく著作物を使うにはどうすればよいのかを他の人にも伝えられるようになってほしい」と呼びかけました。
講義の終わりには質疑応答の時間が設けられ、受講者からは、実体験に基づいた質問を中心に10以上の疑問が寄せられました。さらに、講義終了後も直接講師に質問する学生の姿が見られました。
質疑の中では「普段から著作権に関する疑問は生じているものの、初歩的な内容でJASRACに問い合わせても良いのかわからない」という声もあがり、これに対し講師は「質問のレベルは気にせず、不明点があれば気軽に相談してほしい」と答えていました。
6 アンケートの結果
当日参加された皆さんにアンケートをお願いしたところ、次のようなご意見をいただきました。
・自身の知識があまりない中で、著作権の仕組みのお話をとても丁寧に説明して頂き大変分かりやすかった。
・音楽家として、指導者として、教師として音楽を演奏するときに知らなければならないことを細かく知ることができたので、とてもいい機会になった。今後も勉強をしていって、気持ちの良い音楽活動ができるようにしたい。
・著作権について深い関係にある職業に就きたいと思っているから、学べてよかった。
この他にも、多くの方から、非常に参考になったとの好意的な意見をいただきました。
最後に
東京音楽大学の皆さん、この度はありがとうございました。また、中橋先生からは、今後も定期的に講義をお願いしたいとのリクエストをいただきました。
出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々な講義の開催を予定しております。
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