出張講座JASRACラーニングスクエア

はじめに

2025年2月28日、JASRACラーニングスクエアの出張講座が、伊丹市の主催で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。

１ 応募者について

今回の講座は、兵庫県の伊丹市役所で開催されました。伊丹市は、兵庫県の南東に位置し、大阪市や神戸市のベッドタウンとしても知られる人口19万人の都市です。
応募者である伊丹市職員の西尾さんは、総務部人材育成室研修厚生課で職員向けの研修を担当しています。
西尾さんは、自治体がイラストや写真を無断で配布物等に利用して著作権侵害で訴えられる事案が増えていることに問題意識を持ち、職員に著作権法を体系的に学習する機会を提供したいと考え、講座の申込みをされたそうです。

２ 講師について

駒澤大学の小嶋崇弘准教授が講師を務めました。小嶋先生は、著作権法をはじめとする知的財産法を専門としており、イギリスやアメリカで在外研究を行った経験を生かして諸外国の法制度に関する論文を多数執筆しています。また、大学での講義のほかに、高校生を対象とした出前授業を行うなど豊富な講師経験をお持ちです。

３ 当日の様子・講義の内容について

講座の開催に当たり、西尾さんが伊丹市周辺の自治体（宝塚市や川西市など）にも参加を呼びかけたところ、当日は6つの自治体から計98名の方が参加されました。
講義は「自治体職員のための著作権法入門」と題して、13 時30 分から約 90分間、次のテーマに沿って行われました。
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1.自治体が関係する著作権紛争の増加
2.著作権法の基礎
3.著作物を自由に利用できる場合
4.著作権の帰属
5.AI生成物の生成・利用
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冒頭、小嶋先生は、国や自治体による著作物の無断利用が相次いで報道されていることを紹介。無断利用によるトラブルが増加している背景として、画像検索技術が向上していることや職員の著作権に対する意識不足があると指摘しました。そのうえで、サービスとして提供されているイラストなどを利用する際はあらかじめ利用規約を確認する必要があるなど、日頃気をつけるべき点について説明しました。
続いて、著作権法の基礎知識などについて、裁判例や具体的な事例を挙げながら分かりやすく解説しました。
５つ目のテーマである「AI生成物の生成・利用」では、文化庁が示した「AIと著作権についての基本的な考え方」の内容を説明。著作権侵害かどうかを判断するための要件となる類似性や依拠性などについて解説しました。
講座の最後には、受講者からの個別に質問を受ける時間を設け、小嶋先生はそれぞれ丁寧に回答されていました。

４ アンケートの結果

当日参加された受講者の皆様にはアンケートをお願いし、次のようなご感想をいただきました。
・著作権について分かりやすく学ぶことができた。
・業務に活用できる内容だったので、もっと学びたいと思った。
・個別質問にも対応していただき、不明な点が解決した。

これ以外にも、多くの受講者の方が「有意義な内容だった」と答えてくださるなど、好意的なご意見を多数いただきました。

最後に

受講された伊丹市をはじめとする自治体職員の皆さん、当日の進行を含め事務対応をいただいた西尾さん、この度はありがとうございました。
出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々なテーマで著作権に関する講座を開催します。

（文責：事務局員）