出張講座JASRACラーニングスクエア

はじめに

2024年8月29日、JASRACラーニングスクエアの23回目の出張講座が、株式会社バンダイナムコミュージックライブ（東京都渋谷区）で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。

１ 応募者について

今回の応募者は、株式会社バンダイナムコミュージックライブ音楽事業本部ライツ部の松尾章帆さんです。
バンダイナムコミュージックライブは、ラブライブ！シリーズの楽曲制作やアーティストのプロデュースを手掛けるなど、音楽コンテンツの企画・制作からアーティストの発掘・育成、ライブイベントまでプロデュースする音楽の総合エンターテインメント会社です。グループ会社のバンダイナムコベースとともに、東京都渋谷区の恵比寿ファーストスクエアにオフィスを持っています。

ライツ部でゼネラルマネージャーを務める松尾さんは、新入社員や中途入社の社員が増えてきたことを受け、改めて全社員に、音楽制作に携わる上で必要な著作権の知識を確認してもらうとともに、アニメコンテンツをインターネット上で発信する際の留意点を学んでもらいたいと考え、本出張講座にご応募されました。

２ 講師について

今回の講座では、前田哲男弁護士（染井・前田・中川法律事務所）とJASRAC職員の鮫島（ネットメディア部ネットメディア課）の２名が講師を務めました。

前田弁護士は、著作権法を中心とするエンターテインメント・ビジネス関連法務と企業法務を専門としており、『音楽ビジネスの著作権（第２版）』（著作権情報センター、２０１６年）など著作権に関する書籍・論文を多数執筆されています。

鮫島はJASRACネットメディア部ネットメディア課の職員で、インターネットで配信される音楽の著作権管理に従事しています。今回の講義では、配信分野におけるJASRACのライセンス業務や映像コンテンツを動画投稿サイト等で公開する際の注意点などについて説明することになりました。

３ 受講者について

受講者は、バンダイナムコミュージックライブの社員の皆さんです。普段から権利関係を取り扱うライツ部門のほか、A&R（Artists and Repertoire）、出版、マネジメント部門など様々な部署から約120名が会場又はオンラインで受講しました。

４ 当日の様子・講義の内容について

今回の講座では、「音楽ビジネスと著作権」をテーマとして、前田弁護士、鮫島がそれぞれ40分間の講義を行いました。

まず、前田弁護士のパートでは、著作権法で定められている権利や音楽の著作権が管理される仕組みなどについて説明が行われました。
前田弁護士は、音楽ビジネスにおいて「原盤」ビジネスと「出版」ビジネスは全く別のものであると述べた上で、その違いを著作権法上の言葉を使って解説。アニメ楽曲などの制作から楽曲のプロモーション、そしてライセンス業務までを行うバンダイナムコミュージックライブの事業内容に合わせて、「著作権」の具体的な内容を丁寧に説明しました。
優しい語り口で進められる明快な講義に、受講者の皆さんは時折大きく頷きながら、熱心に耳を傾けていました。

続いて、鮫島のパートでは、著作権の集中管理の必要性や配信分野におけるJASRACの利用許諾業務について講義を実施。
鮫島は前田弁護士の講義内容を踏まえ、JASRACが管理している権利の範囲について紹介した上で、配信分野においてJASRACがどのような考え方に基づいて使用料を定め、ライセンスを出しているかを解説しました。
また、実務上よくある質問として「YouTubeの著作権の申し立て」と「ゲーム配信に関する著作権処理」を挙げ、図を用いながら詳しく説明を行いました。

両講師の講義が終了した後の質疑応答の時間では、外国楽曲の権利に関することなど、日頃コンテンツ制作に携わっている受講者ならではの質問が複数寄せられました。前田弁護士が鮫島に質問を投げかける場面もあり、受講者も講師も最後まで学習意欲に満ちた有意義な時間となりました。

５ アンケートの結果

当日参加された受講者の皆様にはアンケートをお願いし、次のようなご感想をいただきました。
・著作権の成り立ちからJASRACの実務まで今まで知り得なかったことを知ることができた。
・直接音楽著作権とは関わらない部署ではあるが、音楽を取り扱う会社の社員として非常に勉強になった。
・著作権や音楽ビジネスについてまだ分からない事が多い中で受講したが、資料を含めとても分かりやすく、親しみやすいセミナーだった。

アンケートにご協力いただき、ありがとうございました。

最後に

受講されたバンダイナムコミュージックライブの皆さん、当日の進行を含め事務対応をいただいたライツ部の松尾さん、そして講師の前田弁護士、この度はありがとうございました。
出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々なテーマで著作権に関する講座を開催してまいります。

（文責：事務局員）