
出張講座JASRACラーニングスクエア
お申込みフォーム愛知県立芸術大学主催の講座「キャリア支援講座」が開催されました

はじめに
2025年1月9日、出張講座JASRACラーニングスクエアが、愛知県立芸術大学で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。
1 応募者について
今回の応募者は、愛知県立芸術大学の芸術情報・広報課です。
愛知県立芸術大学は、ジブリパークからほど近い場所にキャンパスを構える総合芸術大学で、大学には美術学部と音楽学部、大学院には美術研究科と音楽研究科を設置しています。

同学の卒業生は、イラストレーターやデザイナーをはじめ、作曲家・演奏家、など多方面で活躍しています。また、専門的な知識やスキルを生かして美術館や博物館の学芸員、小・中・高等学校の教員のほか芸術関係の民間企業に就職する人も多いそうです。このような背景もあり、同学では、キャリア支援の一環として弁護士による特別講座を毎年開催し、芸術関係の職種で必要とされる著作権の知識について学ぶ機会を設けてきました。
芸術情報・広報課では今年度の企画にあたり、学生が演奏会などで音楽著作権の利用手続きをJASRACに行う機会が多いことから、JASRACへの利用手続きの実務や業務内容について学びたいと考え、お申込みに至りました。
2 講師について
今回の講座では、JASRAC中部支部職員の仁科と加藤の2名が講師を務めました。仁科は、愛知県内で開催される演奏会などの利用手続きに関する窓口を担当しています。加藤は幼少期からピアノを習い学生時代に音楽を専攻しており、演奏者の立場から著作権制度やJASRACの役割を語ることができることから、講師を務めることになりました。

3 受講者について
開催に当たり、全学部の大学生、大学院生、さらには大学の先生方にも参加を呼びかけたところ、当日は、普段授業のない時間帯である夕方6時からの講義開始でしたが、音楽専攻の学生を中心に26名が講義に参加しました。
4 当日の様子・講義の内容について
今回の講義は「音楽を利用するときに必要な著作権の知識」をテーマに、前半と後半とで講師を交代して行うかたちで進められました。

前半を担当した加藤は、次のトピックに沿って説明を行いました。
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・著作権ってなに?
・JASRACってどんなことをしているの?
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加藤は、自身が演奏者でもある立場から、演奏会の準備から実施までの流れに基づき著作権について説明。練習するために楽譜をコピーしたり、パンフレットに歌詞を掲載したりする場合には「複製権」、イベントなどで公に演奏する場合には「演奏権」、そして演奏の模様を収録した動画をインターネットで配信する場合には「公衆送信権」が働くことを解説しました。
また、講義の合間には「著作物に当てはまるものはどれでしょう」といったクイズを出題し、受講者の回答を基に議論を深めながら講義を展開しました。

加藤に続き、後半を担当した仁科は、音楽著作権の利用手続きに焦点をおいて、次のトピックに沿って講義を行いました。
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・こんな場合どうする?実際に起こる事例から学ぼう!
・実際の手続きはどうすればいいのか
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こんな場合どうする?のトピックでは、前半で加藤が説明した権利の内容を受講者が遭遇する場面、例えば「演奏会を開催するとき」、「楽曲を編曲するとき」、「演奏会の様子をSNSで配信するとき」、「楽譜を複製するとき」などに当てはめて手続きの必要性について説明しました。
また、利用手続きが必要かどうかを判断するポイントの一つとして、著作権の保護期間についても説明。すでに著作権が切れているようにみえるクラシック音楽の作品でも、例えばハチャトゥリアン「剣の舞」やストラヴィンスキー「火の鳥」など著作権が現在も存続している作品があるため、JASRACの作品データベース「J-WID」で権利関係を確認してほしいと注意を呼びかけました。

質疑応答では、受講者から耳コピで楽譜を作成したり、ライブハウスでコピーバンドとして演奏した際の疑問が寄せられました。質問は講義終了後まで続き、受講者の著作権に対する高い関心がうかがえました。
5 アンケートの結果
当日参加された皆さまにアンケートをお願いしたところ、次のようなご意見をいただきました。
・著作権とは何なのかといった基本的なことから、著作物の利用手続き方法といった実践的なことまで丁寧にご説明いただき、勉強になった。
・自分が演奏会を企画する場合に相談する場所がわかった。
・音楽活動をするうえで疑問に思っていたことが解決した。
また、芸術情報・広報課からは来年度も講義をお願いしたいとのリクエストをいただきました。
最後に
愛知県立芸術大学の皆さま、この度はありがとうございました。
出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々な講義の開催を予定しております。
(文責:事務局員)
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