出張講座JASRACラーニングスクエア

はじめに

2025年12月6日、JASRACラーニングスクエアの出張講座が、浜松市文化振興財団の主催により開催されました。
本講座は、同財団が運営する「アクトシティ音楽院 主催者育成セミナー」（全12回）の第9回目セッションとして実施されたもので、昨年度に続き２回目の開催となります（昨年度のレポートはこちら。）。当日の様子と講義内容をレポートします。

１ 浜松市文化振興財団について

浜松市は、ヤマハ・カワイ・ローランドなど世界的な楽器メーカーが集まり、「楽都」と称されるほど音楽文化の盛んな都市で、その中核を担うのが浜松市文化振興財団です。浜松駅前のコンサートホールなどを備えた複合施設「アクトシティ浜松」を拠点に、コンサートや国際コンクールの開催、「浜松市楽器博物館」の運営、「アクトシティ音楽院」の教育事業など、多彩な活動を展開しています。

２ 主催者育成セミナーについて

アクトシティ音楽院では、コンサートを主催できる人材の育成を目指し「主催者育成セミナー」を開講しています。このセミナーでは、企画・演出・広報などコンサート開催に必要な知識を学び、実際にコンサートの開催まで取り組みます。これまでに修了生は300人を超え、自主企画コンサートの立ち上げや市民オーラストラの結成など、地域の文化芸術活動の担い手として活躍しています。
今年度、主催者育成セミナーは創設25周年の節目を迎えます。翌年2月のコンサート開催に向けた打ち合わせが進んでおり、会場に刷り上がったばかりのチラシが並ぶなど、開催への期待が高まる中で出張講座が行われました。

３ 応募者について

今回の応募者は、浜松市文化振興財団の文化事業課で、人材育成を担当されている梅田さんです。
梅田さんは、コンサート主催者に必要な著作権や利用手続きの知識を実践的に学ぶ機会を提供したいと考え、昨年度に続きＪＡＳＲＡＣラーニングスクエアにお申込みくださいました。

４ 講師について

講師を務めたのは、JASRAC静岡支部長の中尾悠里で、昨年度に続き２回目の担当となります。静岡支部は、主催者育成セミナーが企画するコンサートの利用手続き窓口を担当しており、その実務を踏まえて講義を行いました。

５ 受講者について

講義には、大学生からピアノ講師、楽器演奏家まで、コンサートを主催することに関心を持った年代も立場も異なる7名が参加しました（インフルエンザによる欠席があり、当初予定した人数を下回りました）。
受講者の皆さんは今年度、YouTubeでも活躍するソプラノ歌手・野々村彩乃さんを迎えたコンサートを企画し、一般からリクエストを募っています。ちょうどセットリストが固まりつつあり、演奏する楽曲の著作権の取り扱いや利用手続きへの関心が高まっていたことから、これを学ぶよい機会となりました。

６ 当日の様子・講義の内容について

講義は19時より約60分間、クリエート浜松の講座室で行われました。

中尾はまず、著作権の基本的な知識と著作権管理団体の役割を説明し、「コンサートを企画・運営するには、著作権の適切な処理が必要。」と出張講座で学ぶ意義を伝えました。
また、手続きを済ませることなく、自由に音楽を利用できる場合があることを紹介。著作物に該当しない場合や著作権が制限される場合、著作権の保護期間が切れている場合など、具体的な事例を示しながら詳しく解説しました。
そして、演奏会やイベントで音楽を利用する際の具体的な手続きについて、中尾はJASRACホームページを実際に操作しながら解説しました。受講者が企画しているコンサートを例に挙げ、演奏する楽曲の権利者情報を確認したり使用料を試算したりと、実際の手続きの流れを追うことで受講者の理解を深めました。

質疑応答では、次のような内容の質問が出ました。
・　楽譜や歌詞カードをコピーする際にはどうしたらよいか。
・　学校の部活動は自由に音楽が利用できる場合に当てはまるのか。
・　YouTubeの歌ってみた動画の著作権処理はどうなっているのか。
コンサートの企画・検討や日常生活の中で生じた疑問が相次いで寄せられ、中尾は1つ1つ丁寧に回答しました。
最後に、応募者の梅田さんから、浜松文化振興財団が開催するコンサートでの利用手続きの経験談が紹介され、講義内容と実際の著作権手続きがどのように結びつくのか、具体的なイメージを持てたようでした。

７ 受講者の感想

受講者からは、次のような感想が寄せられました。
・　自分も創作活動をしており、YouTubeで作品を発表しているので、著作権は必須の知識だと感じた。
・　大学での専攻分野や、将来希望している就職先でも役立ちそうだと感じた。
・　静岡県にJASRACの支部があることも初めて知り驚いた。
・　ホームページを見ながらの解説が分かりやすかった。
・　自分も機会があればJASRACの出張講座を申し込みたいと思った。
他にも多数の好意的な感想をいただきました。

最後に

主催者である浜松市文化振興財団の皆さま、応募していただいた梅田さん、そして受講者の皆さん、この度はありがとうございました。
JASRACラーニングスクエアでは、今後も地域の文化芸術活動のお役に立てるよう、著作権に関する講座を提供してまいります。

（文責：事務局員）