出張講座JASRACラーニングスクエア

はじめに

2024年1月31日、JASRACラーニングスクエアの4回目の出張講座が一般財団法人自治体国際化協会で開催されました。その内容と当日の様子をご紹介します。

1 応募者について

今回の応募者は一般財団法人自治体国際化協会（ＣＬＡＩＲ／クレア）の森村様（仮名）です。ＣＬＡＩＲは、地域社会の国際化に対応し、地域社会の振興と地方公共団体の人材養成を通じて地方自治の発展に寄与することを目的している団体です。全国の地方公務員の方々が集まり、運営されています。
ＣＬＡＩＲの本部は、東京都千代田区麹町の相互半蔵門ビルに所在しています。近くには、国立劇場や最高裁判所、FM東京などがあり、正に都心の中心地です。

また、ＣＬＡＩＲは、世界７か国に海外事務所を設置し、全国の地方公務員を派遣して、自治体の国際化を推進しています。

森村様は、海外事務所に所属する職員の方々が、ウェブサイトやメールマガジン、機関誌などの媒体を使って情報を発信する際に、著作権を遵守するための基本的な知識を学べる研修を実施したいと応募されたそうです。
特に、職員が記事を執筆するときには、公開されている画像や文章などを引用することが多いので、著作権法の「引用」について詳しく説明してほしいとのご要望がありました。

２ 講師について

今回の出張講座で講師を務めたのは、池村聡弁護士です。池村弁護士は、三浦法律事務所のパートナー弁護士で、知的財産関連法務、IT関連法務、エンターテインメント法務を専門としています。
池村弁護士は、文化庁著作権課に在籍していた経験もあり、平成21年及び同24年には、著作権法の改正に従事していました。「はじめての著作権法」（日経文庫、2018年）、「実務者のための著作権ハンドブック」（CRIC、2022年）ほか多数の著書・論文を執筆されています。

３ 受講者について

受講者は、ＣＬＡＩＲの職員約60名でした。会場である麹町の本部会議室には、東京本部に所属する職員約30名が集まりました。多くの受講者は、今後海外の事務所に赴任される予定の方々でした。
さらに、海外事務所に所属する職員もオンラインで参加されました。シンガポールやソウル、北京など時差があまりない海外事務所の職員は、オンラインで同時視聴。一方、ニューヨークやロンドン、パリの事務所の職員は、リアルタイムで視聴することが難しいので、後日録画視聴の形式で受講しました。

４　当日の様子

講義は、ＣＬＡＩＲの本部会議室で14時00分から約90分間行われました。
池村講師は、あらかじめ用意したレジュメを基に、著作権の基礎的な知識から、権利侵害を避けるためのポイントや、著作権を守りながらコンテンツを利用する方法など、著作権と上手に付き合うための方法について、生成AIなどの最新トピックにも触れた上で講義を行っていました。
講義終了後には、質疑応答の時間が設けられました。受講者からは、「業務の場で新聞や雑誌を切り抜いて共有する行為は著作権法上問題があるのか？」や「コンテストを主催し、動画を集める際に、他の著作物を盗作した作品が応募されないよう、どのような点に注意すべきか」といった質問が出され、池村講師はその一つ一つに丁寧に回答していました。

５ 講義の内容について

「広報研修（著作権関係）」における講義で、タイトルは「著作権法入門」でした。前半では「著作権の基礎」「無断でやってはいけない行為、やってもよい行為」「安易なパクリは危険」について、後半では引用を活用するための権利処理のポイントや、よくあるトラブルを例に挙げ、他人の著作物を適法に利用するにはどうすればよいかについて詳しく説明がありました。

6　アンケートの結果

当日参加された受講者の皆様にはアンケートをお願いし、このようなご意見をいただきました。
●　講義では、「引用」と「転載」の違いや「著作権」そのものについての理解が曖昧だったが、どのようなものが「著作権」に該当するのか、また著作権法についても詳しく学ぶことができた。
●　引用の定義と整理の部分が分かりやすく実際に業務に有用と感じた。また、イラスト等での著作権侵害に当たるか否かの実例を示していただいたのが大変分かりやすかった。
●　貴協会がこのような講義をおこなっていることを知りませんでしたが、今回有意義な機会をいただいた。
この他にも今回の講義の内容を評価してくださるコメントを多数いただきました。

最後に

自治体国際化協会の皆さん、そして講師の池村聡弁護士、この度はありがとうございました。
出張講座JASRACラーニングスクエアでは、今後も様々な講座の開催を予定しています。

（文責：事務局員）