
寄付講座JASRACキャンパス
信州大学社会基盤研究所(長野県松本市)でJASRAC寄付講座 「AIと知財法務に関する総合コース」が開講されました。

<信州大学松本キャンパスから残雪の北アルプスを望む>
信州大学社会基盤研究所(長野県松本市)において、2025年4月11日、JASRAC寄付講座「AIと知財法務に関する総合コース」が開講されました。この講座は、「寄付講座JASRACキャンパス」の2024年度第1回目募集に採択され、JASRACの寄付により設置されたものです。
今回、開講を記念し、同大学社会基盤研究所の所長であり、寄付講座の専任教員を務める丸橋昌太郎教授にインタビューを行いました。

丸橋教授のカジュアルな装い――胸元に眼鏡を下げたTシャツ姿は、研究者然とした堅苦しさを感じさせません。その親しみやすい雰囲気は、信州大学が社会と積極的に関わり、風通しの良い関係を築こうとする姿勢を象徴しているかのようです。
―――信州大学では、日経グローカルの「大学の地域貢献度に関する全国調査」で2023年まで3年連続2位にランクインするなど、社会連携に力を入れていらっしゃいます。寄付講座が大学や地域社会に果たす役割について、どのようにお考えですか?
本学では、教育研究は社会の課題解決や発展に貢献すべきものと考え、地域社会との連携を重視しています。その中で寄付講座は、企業や団体の支援を受け、大学の教育研究と社会課題を結びつける「橋渡し」の役割を担っています。社会課題をテーマにした教育研究を通じて、学生には実践的な学びを提供し、社会には研究成果を還元する仕組みとして機能しているのです。寄付講座は、大学と社会がともに成長し、新たな価値を生み出す場として、ますます重要な存在になると思います。
―――信州大学では、2019年から2022年にかけて、経法学部でJASRAC寄付講座が実施されていました。今回、あらためて寄付講座に応募するにあたって意識されたことは何でしょうか?
今回の寄付講座は前回と違って公募制であり、著作権の教育研究という目的に沿いながら、大学が自らの課題や独自の視点に基づいてテーマを設定できる点が大きな魅力でした。このように、大学が自由にテーマを設定できる寄付講座は珍しいのではないかと思います。
そこで、前回よりもさらに発展的な内容に挑戦し、AIと知財という今後ますます重要性が高まる分野をテーマに選びました。そういった積極的な姿勢が評価されて、採用していただけたのではないかと思います。

―――今回の寄付講座「AIと知財法務に関する総合コース」について、どのような内容を目指していますか?
本学では、経法学部で知財教育に力を入れるとともに、全学横断教育プログラムであるライフクリエイターコースではAIを活用できる人材の育成をテーマにしています。この2つの強みを融合させ、最新の社会的課題に対応する寄付講座を実現することを目指しました。急速に進化する生成AIは、音楽著作権をはじめとする知財の在り方に大きな影響を与えており、新たな課題が次々と生じています。こうした課題に向き合う教育を学生に提供したいと考え、AIと知財法務をテーマに選びました。
―――この講座を通じて、学生にどのような力を身につけてほしいと考えていますか?また、その力を活かしてどのように社会で活躍してほしいとお考えですか?
AI技術の専門家と法律の専門家が協働し、AIの社会実装を進める場面が増えています。しかし、大学では工学部や法学部など分野が分断されがちです。この寄付講座では、分野を超えた連携と協働力を養い、AI社会で活躍できる人材の育成を目指しています。学生には、ここで培った力を活かして日本のAIや知財分野の発展に貢献することを期待しています。

寄付講座を通じて未来を切り拓く――丸橋教授の言葉からもわかるように、信州大学で開講された寄付講座「AIと知財法務に関する総合コース」は、AI技術の進化がもたらす新たな課題に対応できる次世代の人材を育成する取り組みです。
JASRACでは、寄付講座を通じて教育機関における著作権の教育・研究を支援し、音楽文化や著作権が尊重される社会の実現を目指しています。ぜひ多くの大学にご関心をお寄せいただければ幸いです。
(文責:事務局員)